最近海外で日本のお酒が人気だそうです。
現在貿易の会社をしていて、日本のお酒を海外へ輸出したいという会社も増えており、そういったご相談をいただくことがあります。
今回は貿易業をしている会社が、日本のお酒を海外の酒販業者などに卸売をする場合に必要な
輸出酒類卸売業免許」の要件について書いていきます。

要件

人的要件・場所的要件・経営基礎要件・需給調整要件など、酒類を扱うには必要な要件があります。

■人的要件
(1) 申請者が酒類等の製造免許・販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けた者である場合
 ⇒取消処分を受けた日から3年を経過していること

(2) 申請者が酒類の製造免許・販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがある法人の場合
 ⇒その取消原因があった日以前1年内にその法人の役員であった者の場合、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していること

(3) 申請者が申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けたことがないこと

(4) 申請者が国税又は地方税に関する法令等に違反して、罰金の刑に処せられ又は通告処分を受けた者である場合
 ⇒その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過していること

(5) 申請者が未成年者飲酒禁止法、風俗営業等の法律(20 歳未満の者に対する酒類の提供に係る部分に限る。)、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫又は背任の罪)又は暴力行為等処罰に関する法律の規定により、罰金刑に処せられた者である場合には、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること

(6) 申請者が禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること

■場所的要件
①申請販売場が、製造免許を受けている酒類の製造場や販売業免許を受けている酒類の販売場、酒場又は料理店等と同一の場所でないこと

②申請販売場における営業が、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性その他販売行為において他の営業主体の営業と明確に区分されていることが必要

■経営基礎要件
免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合のほか、その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないこと
申請者が法人のときはその役員(代表権を有する者に限ります。)又は主たる出資者を含む

■需給調整要件
酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の販売業免許を与えること
が適当でないと認められる場合に該当しないこと

管轄が税務署になりますので、国税や地方税の滞納、銀行の停止処分など、お金にまつわる部分も重要になります。
最終事業年度で確定した決算にて繰越損失が資本などを上回っている場合や、最終事業年度より前の3事業年度に渡って資本金の20%を超える欠損がある場合は酒類を取り扱い営業する能力に足りないと判断されます。


その他「酒類の製造業や販売業の業務経験が3年以上」「調味薬品などの販売業の経営を3年以上継続」もしくは両方合わせて通算3年以上など経験も問われます。
とは言え、酒類を初めて扱うとなるとこの経験はないことが殆どです。
じゃあ経験がないと酒類の免許は取得できないの(´・ω・`)?と思ってしまいますが、そんなことはありません。

酒類販売管理研修を受けてください。申請前に受けてください。
現在の貿易の経験と酒類販売管理の研修を受講したという2点をもって、酒類を扱う適性があるということを証明します。
経験はなくとも自ら研修を受け理解した上で申請しました、というアピールになります。

酒類販売管理研修の受講証のコピーは必須書類ではありませんが、審査の過程で経験が問われた際に「研修を受けて受講証のコピーを提出してください」と言われることが予想されます。
そうなると審査が遅れるため、申請前に受けて予め提出する方がスムーズに進みます。

要件に関しては以上となります。
次回の記事では必要書類について記載します。